酒造りの敵?マンガンと清酒の関係

お酒を知りたい
先生、お酒の解説で『マンガンは鉄同様少ないほど良い』と書いてあったのですが、マンガンって何ですか?

お酒の達人
良い質問ですね!マンガンは水の中にごく微量に含まれるミネラルの一種です。鉄と同じように、水に溶けるとお酒の色が変わったり、味が悪くなったりする可能性があります。

お酒を知りたい
そうなんですね。でも、どうして鉄と同じように少ない方が良いんですか?

お酒の達人
マンガンは、お酒が日光に当たって色が変わる『日光着色』を促進させる働きがあるんです。鉄も同様の効果があります。だから、美味しいお酒を作るためには、マンガンや鉄が少ない方が良いとされています。
マンガンとは。
お酒造りにおいて「マンガン」は、水に含まれると悪影響を及ぼす成分の一つです。マンガンは、日本酒が日光によって変色するのを早めてしまう性質を持つため、鉄分と同様に、水に含まれる量が少なければ少ないほど、良質な酒造用水と言えるでしょう。
酒造用水の重要性

銘酒を生み出すには、原料である米、気候や温度などの環境、そして酒蔵に住み着く酵母や菌など、様々な要素が複雑に絡み合っています。しかしそれらと並んで重要なのが、酒造用水として使用される「水」です。水は、米を洗い浸漬する工程から、仕込み、瓶詰めに至るまで、あらゆる場面で使用されます。酒造りに使用される水の量は、なんと米の量の約30倍にもなると言われており、その品質が清酒の味わいを大きく左右すると言っても過言ではありません。例えば、硬度が高い水はすっきりとした辛口の味わいを、軟水はまろやかで芳醇な味わいの酒を生み出す傾向があります。酒蔵が長年培ってきた技術や経験に加え、その土地特有の水の性質を知り尽くし、最大限に活かすことが、高品質な清酒造りの秘訣と言えるでしょう。
マンガンとは?

マンガンは、自然界に広く存在する元素の一つで、土壌や水、空気中にも含まれています。鉄や銅と同じく金属元素に分類され、光沢のある銀白色をしています。マンガンは、私たちの体内でも微量ながら存在し、骨や酵素の形成、代謝に関わるなど重要な役割を担っています。しかし、清酒造りにおいては、マンガンは「酒造りの敵」とさえ呼ばれることがあります。それは一体なぜなのでしょうか?続く章では、マンガンが清酒に与える影響について詳しく解説していきます。
マンガンが酒質に与える影響

清酒の製造において、酒米や水と同じくらい重要なのが、酵母が健全に発酵するための環境です。しかし、麹や酵母にとって有害な物質が存在する場合、酒造りは困難を極めます。マンガンはそのような物質の一つであり、酒質に悪影響を与えることが知られています。
マンガンは微量ながらも土壌や水に含まれる天然のミネラルですが、清酒に含まれると、香味や外観に悪影響を及ぼします。具体的には、お酒に雑味や渋味、さらには金属のような異臭を発生させることがあります。また、マンガンは酸化を促進するため、清酒の色を褐色に変色させる原因にもなります。透明感のある美しい色合いが求められる清酒にとって、これは大きな問題です。
そのため、酒蔵では仕込み水に含まれるマンガンの量を厳しく管理し、場合によっては浄水処理を行うなどして、マンガンによる悪影響を最小限に抑える努力をしています。
マンガンの低減方法

清酒の品質を大きく左右するマンガン。その低減は、酒蔵にとって重要な課題です。一体どのような方法で、マンガンを低減しているのでしょうか? 実は、マンガンを低減する方法には、大きく分けて「物理的な方法」と「化学的な方法」の二つがあります。
まず「物理的な方法」として挙げられるのが、「ろ過」です。これは、特殊なフィルターを用いることで、水中のマンガンを直接的に取り除く方法です。比較的シンプルな方法ですが、フィルターの交換など、ランニングコストがかかる点がデメリットと言えるでしょう。
一方、「化学的な方法」としては、「酸化剤の使用」が挙げられます。これは、酸化剤を用いることで、水中のマンガンを酸化させ、水に溶けにくい形に変えることで除去する方法です。効果が高く、多くの酒蔵で採用されていますが、使用する酸化剤の種類や量によっては、清酒の風味に影響を与える可能性もあるため、注意が必要です。
このように、マンガン低減には、それぞれにメリット・デメリットが存在します。そのため、それぞれの酒蔵の酒造りの方針や、使用する水質などを考慮した上で、最適な方法を選択していく必要があると言えるでしょう。
まとめ:良質な水で美味しいお酒を

酒造りにおいて、水はまさに命。原料である米を洗い、蒸す工程から、発酵、熟成に至るまで、あらゆる場面で使用されます。中でも、仕込み水に含まれるミネラル成分は、酵母の働きや酒質に大きな影響を与えるため、古くから酒蔵は水質にこだわってきました。
しかし近年、美味しい酒造りを脅かす存在として、マンガンが注目されています。マンガンは土壌や岩石に含まれる天然のミネラル成分ですが、水道水質基準の項目にもなっているように、過剰な摂取は人体に影響を及ぼす可能性があります。酒造りにおいても、マンガンは清酒の香味を損なったり、濁りの原因となったりすることが知られています。
そのため、酒蔵では、マンガンを除去するための高度な浄水処理や、マンガン含有量の少ない水源の選定など、様々な対策を講じています。消費者の私たちも、良質な水で造られた美味しいお酒を味わうためには、酒造りの背景にある水へのこだわりや努力について理解を深めることが大切と言えるでしょう。
